ライダーなりの読書感想文

高齢社会の進行、高齢ドライバーの急増、山積みの問題、日本にはびこる自動車優先主義

所正文さん、小長谷陽子さん、伊藤安海さんの著書『高齢ドライバー』

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所 正交さん、小長谷陽子さん、伊藤安海さんの著書『高齢ドライバー』を読み終わりました。

所正文さん、小長谷陽子さん、伊藤安海さんの著書『高齢ドライバー』

こういうタイトルを見ると、

「また高齢ドライバーか」

「いつまで車を運転してるんだよ」

「いい加減、高齢者に免許を返納させろ」

という声が聞こえてきそうです。

ですが、高齢ドライバーが免許を返納すれば済む話ではないんです。

高齢者『だけ』に問題があるように見えますが、あくまで高齢者は(事故が起こる)要因の一つに過ぎないんです。

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なぜ高齢者が車を運転せざるを得ないのか

この本では、高齢ドライバーが引き起こしている事故の背景には何があるのかについて書かれています。

近年、『高齢者が運転している車が事故を起こした』というニュースがよく流れていますね。

こういうニュースを見ると、高齢者に嫌悪感を露にする人も少なからずいるのではないかと思います。

「高齢者が車を運転しなければ事故はなくなる」

「高齢者が免許を返納すれば問題は解決する」

直接口に出さないものの、こう考えている人もいるのではないかと思います。

ですが、本当に高齢者『だけ』に問題があるのでしょうか。

そもそも、運転に必要な能力が大幅に低下しているはずの高齢者が、何故いまだに車を運転し続けているのでしょうか。

日本では、車社会が本格化し始めた一九七〇年代になると、経済成長の波に乗り、自動車が地方都市の道路へ急激に進出していった。

地方都市の交通では、経済効率に勝る自動車のみが生き残り、六〇年代まで人々の移動を支えていた路面電車や自転車が一気に駆逐されてしまった。(63ページ)

もうお分かりですね。

そうです、生活するのに必要な場所(スーパーや病院)に行く手段が他に無いからです。

公共交通機関が整備されておらず、車以外の移動手段が無いからです。

ほとんどの高齢者は、車しか移動手段が無いから車を運転しているんです。

ですが、これは言い方を変えると

『車以外の移動手段があれば、車を運転しなくてもいい』

ということではなのではないでしょうか。

(高齢者の中には、車の運転そのものが好きな人もいるかもしれませんが。)

日本に定着してしまった自動車優先主義

そもそも、日本は車を優遇し過ぎています。

この本でも指摘されていますが、あらゆるものが車にとって都合の良いものになっています。

郊外に建設されたお店や病院

歩道が無い道路

一向に整備されない公共交通機関

etc・・・

住宅街を通る道路

日本の道路は、いまだに煽り運転・危険運転をしている車があちこちにいます。

運転している人にも問題があるのでしょうが、自動車優先主義が悪質なドライバーを増長させている要因である可能性は否定できません。


経済効率が良い(売れれば経済が潤う)車を普及させたのはいいものの、その後のことは考えていなかったのでしょうね。

そう考えると今日の事態は、経済が潤うことしか考えずに車を普及させたツケが回ってきたとも言えるかもしれませんね。

私達からしたら、迷惑極まりない話ですが。

何でもかんでも車があることを前提にすることで、しわ寄せを受ける人がいることを考慮しなかったのでしょうか。

歩行者や自転車は路肩のドブ板の上へ追いやられ、道路内では、「自転車ーバイクー自転車ー歩行者」といった階層的序列が出来上がり、先を急ぐ自動車に対して強い優先権が与えられている。

そのため、交通弱者として最もしわ寄せを受けることになる「歩行中の高齢者」の事故死亡者数の多いことが、わが国の大きな特徴になっていることは、すでに述べた通りである。(66ページ)

交通強者と弱者のピラミッド

高齢者に免許を返納させるのは、そんなに簡単ではない

とはいえ、公共交通機関を整備すればいいのかというと、そうではありません。

高齢者の中には

『乗り物が運転できる=自立している』

と自負している人もいるからです。

高齢者にとって、運転免許の保有は自立の象徴につながるため、尊厳を傷つけないような対応が求められる。(85ページ)

「高齢者に免許を返納させればいい」と言う人もいますが、実際に高齢者に免許を返納させるのって難しいんです。

仮に免許を返納させるにしても、移動手段を失った高齢者をサポートするシステムが確立していないと難しいかもしれません。

この本にも各地域が行っている取り組みが紹介されていますが、今後も急増するであろう高齢者を全員サポートすることができるのかは疑問が残るところです。

今後も増え続ける高齢ドライバー

これから日本は高齢者が(ものすごく)多くなることが予想されます。

それ故に、今後も高齢ドライバーの数が増えることは想像に難くないかと思います。

しかし、日本における高齢ドライバー対策は十分であるとは言えません。

つまり、事故を起こす可能性がある車と遭遇することは今後も起こり得るということになります。

(もっとも、危険なのは高齢ドライバーだけではありませんが。)

よって、バイク(及び他の乗り物)を運転するときはそういう事態が起こることも想定しておく必要があります。

(誰ですか、「俺(私)は大丈夫」なんて言っているのは。)

危険予知の習慣を心掛けましょう。

常に『二歩先』を見て運転しましょう。

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