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隼のフロントフォークとリアショックアブソーバーには、最初からプリロード(バネをあらかじめ縮めておく量)を調整するための機能が付いています。
プリロードはライダー一人一人に合わせてあるわけではなく、想定重量(日本のメーカーの場合、想定するライダーの体重は、65~75kgくらいと言われています)に合わせてあります。
そのため、人によっては乗っていて「凸凹面で突き上げられる」「底付きしてゴツゴツする」と思うかもしれません。
ですが、フロントフォークおよびリアショックアブソーバーのプリロードを調整することで、乗り心地を変えることができます。
もし乗っていて「突き上げ」「底付き」を感じるのであれば、試しにプリロードを調整してみてはいかがでしょうか?
とはいえ、プリロードなんて一度もイジッたことないし、そもそもどうやって調整すればいいのか分からん・・・って人もいるかもしれませんね。
そこで今回は、スズキ 隼(2008~2020年式)のプリロード調整の方法を書きました。
隼のプリロードを調整してみたい人、または隼以外のバイクに乗っている人の参考になれば幸いです。ぜひ、ご一読を。
なお、フロントフォークおよびリアショックアブソーバーは両方とも純正です。社外品のフロントフォークおよびリアショックアブソーバーを付けている人は、添付されている取扱説明書をご覧くださいませ。
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もくじ
用意するもの
まずは、プリロードを調整するために必要なものを揃えます。
ホームセンターや工具屋さんに売っているものばかりですので、もし足りないものがあればこの機会に用意しておきましょう。
レンチ
フロントフォークのプリロードアジャスタを回すのに使います。
メガネレンチやコンビネーションレンチでも回すことはできますが、なるべくソケットレンチをおすすめします。
ソケットレンチの方が回しやすく、メガネレンチやコンビネーションレンチのように片方がタンクに当たることもありませんので。
引掛けスパナ
リアショックアブソーバーのロックリングとアジャストリングを回すのに使います。
引掛けスパナのサイズは70~75mmですが、念のためにノギスでロックリングとアジャストリングの外径を測っておくことをおすすめします。
新車ならまだしも、中古車の場合は前の持ち主がリアショックアブソーバーをどうイジッているか分かりませんから。
まあ、ロックリングとアジャストリングをイジる人なんていないと思いますが、念のためにノギスで測っておきましょう。
浸透潤滑剤
ロックリングとアジャストリングを潤滑させるのに使います。
何年も回していないと、ロックリングとアジャストリングが固着している場合があります。
毎回必要だというわけではありませんが、少なくとも初回は用意しておくことをおすすめします。
長い間放置されていたロックリングとアジャストリングは、大抵の場合は固着していますから。
マイナスドライバーとハンマー
引掛けスパナで回せなかったときに、ロックリングを叩くのに使います。
浸透潤滑剤を塗布してもなおロックリングが固着している場合、ロックリングにマイナスドライバーの先端を当て、柄をハンマーで叩くことでロックリングが緩むことがあります。
もちろん、引掛けスパナだけで回せるのであれば必要ありませんが、万が一のときのために用意しておきましょう。
白ペン(油性)
プリロードアジャスタやアジャストリングに目印を付けるのに使います。
隼のプリロードは前後とも無段階(ネジ式のもの。その回転数で管理する)です。
白ペンで目印を付けておくことで「1回転させたか否か」が分かるようになりますので、引掛けスパナなどと一緒に用意しましょう(金属にも使える白ペンは、ホームセンターや工具屋さんにもあります)。
ウエス
アジャストリングに付着した浸透潤滑剤を拭き取るのに使います。
ホームセンターや工具屋さんで購入しても構いませんが、使わなくなったTシャツ等をハサミで切ったものでも充分ですので、この機会に用意しておきましょう。
メモ帳
「プリロードを何回転分掛けたか(あるいは、抜いたか)」「その結果、何が変わったか」などを記録するために使います。
メモ帳といってもわざわざ購入する必要はなく、スマホやパソコンのメモ帳でもチラシの裏でも何でも構いませんので、記録できるものを用意しておきましょう。
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フロントのプリロード調整の方法
隼のフロントのプリロードは無段階(ネジ式のもの。その回転数で管理する)です。
また、左右両方とも調整する必要がありますのでお忘れなく。
白ペンで目印を付ける
まずはじめに、ウエスでプリロードアジャスタとその周辺の汚れを拭き取ります。
汚れを拭き取った後、白ペンで目印を付けます。
なお、目印は左右両方に付けてください。フロントのプリロードは、左右両方とも調整する必要がありますので。
プリロードアジャスタを回転させる
次に、レンチを使ってプリロードアジャスタを回します。
プリロードを掛けたい場合は時計方向に、逆にプリロードを抜きたい場合は半時計方向に回してください。
最初の方でも触れましたが、レンチはソケットレンチをおすすめします。
どうしてもメガネレンチやコンビネーションレンチを使うのであれば、レンチの片方がタンクに当たらないようご注意を。
もっとも、フロントのプリロードアジャスタは(リアよりも)簡単に回りますし、それこそタンクに傷が付くほど力を掛ける人なんていないと思いますが。
なお、フロントのプリロードを標準に戻したいときは
①プリロードアジャスタを時計方向に止まるまで回す
②半時計方向に6回転させる
で元に戻せます。
また、プリロードを掛けたり抜いたりするときと同様、元に戻すときも左右両方とも戻してください。
左は元に戻したけど、右はそのままだった・・・なんてことにならないよう、ご注意を。
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リアのプリロード調整の方法
隼のリアのプリロードは、フロントと同じように無段階(ネジ式のもの。その回転数で管理する)です。
また、リアのアジャストリングは(フロントのプリロードアジャスタほど)簡単に回りません。ご注意を。
浸透潤滑剤を塗布する
まずはじめに、ロックリングとアジャストリングに浸透潤滑剤を塗布します。
浸透潤滑剤を塗布したら、しばらくの間放置しておきましょう。
ロックリングを緩める
次に、引掛けスパナを使ってロックリングを緩めます。
なお、緩めるときは半時計方向に回してください。
緩めているつもりだったけど、実は時計方向(締める方向)に回していた・・・なんてことがないよう、ご注意を。
ただし、浸透潤滑剤を塗布したにもかかわらず、ロックリングが固着している(引掛けスパナで回せない)ことがあります。
そういうときは、マイナスドライバーとハンマーで叩きます。
マイナスドライバーの先端をロックリングに押し当て、柄をハンマーで叩きます。
大抵の場合、何回か叩けばロックリングは緩みますので、そうなったら再度引掛けスパナでロックリングを緩めてみてください。
白ペンで目印を付ける
ロックリングやアジャストリング(それと、バネ)に付着した浸透潤滑剤をウエスで拭き取り、白ペンで目印を付けます。
なお、ロックリングが緩んだら、指でも回せるようになります。
そうなったらロックリングを半時計方向に回して、上の方に上げておきましょう。
アジャストリングを回転させる
次に、引掛けスパナを使ってアジャストリングを回します。
フロントと同様、プリロードを掛けるときは時計方向に、逆にプリロードを抜きたいときは半時計方向に回します。
さきほども触れましたが、リアのアジャストリングは(フロントのプリロードアジャスタほど)簡単に回りません。
アジャストリングを回すときは、引掛けスパナのツメを(アジャストリングに)しっかりと引掛け、ゆっくりと力を掛けて回してください。
最後に、プリロードを掛け終わったら(あるいは、抜き終わったら)ロックリングを時計方向に回して締結します。
ロックリングを締結するときは、はじめから引掛けスパナで回す必要はありません。
まずは指でロックリングを回して(締結する位置まで)下げ、最後に引掛けスパナを時計方向に回して締めましょう。おつかれさまでした。
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迷ったら元に戻すこと
以上、スズキ 隼(2008~2020年式)のプリロード調整の方法でした。
実際にやってみると分かりますが、フロントの調整はすんなりとできます。フロントの調整は。
ですが、リアの調整がこれまた面倒で、それこそ初回は「ロックリングが緩まない・・」「アジャストリングが中々回らない・・」なんて言いながら四苦八苦することでしょう。
もし、どうしてもロックリングが緩まない(または、アジャストリングが回らない)のであれば、初回だけバイク屋さんに回してもらうのも一つの手です。
別に、バイク屋さんにお願いすることは恥ずかしいことでも何でもありませんから(バイク屋さんに回してもらうのは、初回だけで充分です。1回回してしまえば、次回からはすんなりと回るようになります)。
それと、プリロードを調整するうえで大事なことが二つあります。
一つ目は、前後を同時にイジらないことです。
プリロードを調整したことで走りが良くなった(あるいは、悪くなった)としても、フロントとリアを同時に調整してしまうと、どっちが原因で走りが良くなった(あるいは、悪くなった)のか分からなくなってしまいます。
あれこれとイジりたくなったとしても、まずはフロントかリアのどっちかから調整するようにしましょう。
二つ目は、迷ったら元に戻すことです。
プリロードの調整にこだわり始めると、そのうち泥沼(?)にハマることでしょう。
「理想の状態」を追求してあれこれ調整しているうちに訳が分からなくなり、終いには何をどうイジったらいいのかサッパリ・・・ってことになるかもしれません。
もしプリロードを調整していて訳が分からなくなった場合は、一旦プリロードを元に戻しましょう。
「そんなことしたら、また最初からやり直しじゃないか!」と思うかもしれませんが、そこでメモの出番です。
「どっちのプリロードを何回転分掛けたか(あるいは、抜いたか)」「その結果、何が変わったか」を記録しておけば、今後の調整に活かすことができますから。
どんなに面倒くさかったとしても、せめて「どっちのプリロードを何回転分掛けたか(あるいは、抜いたか)」くらいは記録しておきましょう。これらを記録しておかないと、何回転分抜けば(あるいは、掛ければ)元に戻せるのか分からなくなりますので。特に、リアは。
それでは、あなたもプリロードを調整し、走りが変化するのを試してみてくださいね。
あなたがあれこれと試行錯誤しながらも、ずーっと隼で走りを満喫し続けられますように。
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