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突然ですが、あなたはスズキの隼をご存じですか?
隼は1999年に初代が発売されたメガスポーツバイクで、量産市販車で当時初の300km/h超えを達成したことで有名なバイクです。
その後の2008年にフルモデルチェンジされた二代目が登場し、デビューから10年以上経過した現在でもその高性能や存在感は色褪せず、高い注目度を誇っています。
それゆえなのか、イメージだけで「よし、隼買うぞ!」と意気込む人を今でもよく見かけます。
ですが、隼は誰でも乗れるバイクではありませんし、何も考えずにイメージだけで買ったら後々後悔します。
そうならないためにも、隼に乗る前に知っておきたいことがあります。
そこで今回は、隼に5年間乗り続けて分かったこと、および「隼に乗る前に心得ておきたいこと」を書きました。
・スズキ 隼に興味がある人
・隼がどんなバイクか知りたい人
・「自分はどんなバイクでも乗り続けるから大丈夫!」と思っている人
の参考になれば幸いです。
買ってから「こんなはずでは・・」と後悔するのは、誰だってイヤなはずですから。
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もくじ
重い、とにかく重い
隼に乗るうえで、おそらく一番の障害になるのは「重さ」です。
隼は重いです。とにかく重いです。
それもそのはず、重量が266kgもあるんですから。
266kgがどれだけの重量なのか、あなたは想像できますか?
たとえば、普通自動二輪の教習車として有名なホンダ CB400 SUPER FOURは重量が201kgあります。
つまり、単純に計算すると隼はCB400 SUPER FOURよりも65kgも重いことになりますね。
さて、ここで普通自動二輪の教習を思い出してみてください。
当時(あなたが普通自動二輪免許を取得しているという前提でお話ししますが)あなたは、CB400 SUPER FOURを余裕で押し引きできていましたか?
何度も何度も立ちゴケし、ヒーヒー言いながら必死でCB400 SUPER FOURを押し引きしていませんでしたか?
そんなあなたなら「CB400 SUPER FOUR+65kg」がどれだけ重いのかが、だいたい想像できるのではないでしょうか?
たとえば、ヤマハのオフロードバイク セロー250の重量は130kgです。
ということは、隼はセロー250の2倍以上の重さがあることになりますね。
「セロー250の2倍以上の重さ」って言われてもピンと来ない人は、一度セロー250をはじめとするオフ車(250トレール)に乗ってみてください。
そうすれば、266kgがどれだけ重いのか想像できるかもしれませんので。
ここまで色んなバイクで例えてみましたが、隼がどれだけ重いのか想像できたのではないかと思います。
大事なことなのでもう一度言いますが、隼はとにかく重いバイクです。
それゆえに、乗り始めの頃は駐輪場(または車庫)から出すことでさえ苦戦します。
よほどの力持ちであれば話は別かもしれませんが、260kgを超えているバイクを楽々押し引きできる人なんて滅多にいないでしょうから。
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一瞬の油断が立ちゴケにつながる
これだけの重量があるバイクは、一時停止するときも注意が必要です。
ちなみに、隼のシート高(地面からシートまでの距離)は805mmです。
「シート高805mmは高いか?低いか?」は人によって判断が分かれそうですが、高いと判断する人も少なからずいるのではないでしょうか。
メーカーの設計上のターゲットとする体型にも一般的な範囲での幅が持たせてあるとはいえ、世の中のライダーすべてに合わせて作られているわけではありませんから。
また、隼は意外と車体がゴツいです。
実際に跨ってみると分かりますが、けっこう幅があります。
決して低くないシート高、ゴツい(幅がある)車体、これに加えて266kgという重量があります。
そのため、人によっては足つきに不安を感じるかもしれません。
何が言いたいのかというと、隼は(軽いバイクと比較すると)立ちゴケのリスクが高いということです。
それゆえに、「一時停止するとき」「見通しが悪い場所で発進するとき」は一瞬たりとも油断できません。
特に、疲れているときは要注意です。
たとえば、信号などで停止しているときに、疲れて集中力が途切れた途端に車体が傾き、そのままバタン・・なんてことも十分有り得ます。
もっとも、これは隼以外のバイクにも言えることですし、そもそもロクに安全確認もしないで運転すること自体どうなのよ?って話なんですけどね。
早々に手放すんだったら買わなくてもいいんじゃない?
ここまで読み進めてくれたあなたなら、隼が決してお気楽に乗れるバイクでないことは分かって頂けたかと思いますし、イメージだけでいきなり購入することもないかと思います。
ですが世の中には、せっかく隼を購入したのに(ここまで挙げてきた)デメリットに耐えかねて早々に手放してしまう(または他のバイクに乗り換えてしまう)人も少なからず存在します。
そのせいか(そのおかげで?)、「ほとんど新車と変わらない隼」を中古バイク売り場で見かけることがあります。
極上の中古車を探している人にとっては嬉しい話ではありますが、けっして安くないお金を出して買ったのに早々に(ロクに乗らずに)手放してしまうのは勿体ないですよね。
バイク屋さんの話によると、大半のものが「ほとんど乗らずに売却されたもの」だそうです(話を聞く限りだと「憧れで買ったはいいものの、重さと大きさがイヤになって乗らなくなり売却した」というパターンでしょうね)。
せっかく買ったのに、ロクに乗りもしないで早々に手放すのは勿体ないですよね。
もちろん、健康上の理由などやむを得ない場合もあるので一概には言えないことは分かります。
ですが、すべての人が「本当に」そういった理由で隼(他のバイクもですが)を手放しているのでしょうか。
何と言いますか、「新車とほとんど変わらない中古車」がゴロゴロしている現状を見ると、とてもそう考えられないんですよ。
中古ユーザーは喜ぶかもしれませんが、それでも(ものすごく)もったいないと思ってしまいます。
思うに、そういう人達は「自分の欲望を知ること」ができていないのではないでしょうか。
もし「自分が真に欲しているもの」を知ったうえでバイクを買ったのであれば、何らかの障害があったとしても早々に手放すことは無いでしょうし、仮に障害にぶち当たったとしても色々と試行錯誤して克服しようとするはずです。
そう考えると、意気込んでバイクを契約する前に、まずは「自分の欲望を知ること」が先なのではないでしょうか。
悪いことは言いません。
重くて大きいバイクと付き合っていく気が無いなら、他のバイクにしておきましょう。お金と時間がもったいないですから。
憧れで買い物をするのも悪くありませんが、それでもよーく考えるべきです。
もっとも、これはバイクだけに限った話ではないのかもしれませんが。
バイクにとって純粋に見かけだけの部品は少ない。
大抵、機能がともなう。
例えばマフラーなどは良い例だ。
ホントに見かけだけで済むのか、そのカスタムによって乗り物としてどー変わるのか…
それを考えずにやれば何らかのカタチで裏切られ、時間と金をうんと無駄にすることになるぞ。
(カスタム虎の穴 Vol.1 18ページより)
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重さと付き合っていけるなら、隼は非の打ち所のないバイク
ここまで、隼の購入を考えている人に向けて色々と書きました。
結局のところ、隼に乗るうえで重要になってくるのは「重さと付き合っていけるかどうか」だけで、あとは乗り手の問題でしかありません。
言い方を変えると、重ささえクリアしてしまえばずーっと乗り続けることだって可能ですし、何年もずーっと乗り続けている人だってザラにいます。
もしあなたが重さと上手く付き合っていけるのであれば、隼は非の打ち所のないバイクです。
現に、私にしたって5年以上経った現在でも乗り続けていますからね。
押し引きするときは重いですが、走り出すと(驚くほど)軽く、はじめて隼に乗ったら「軽っ!これ本当に266kgもあるバイクなのか!?軽っ!!」と思うかもしれません。
また、加速が穏やかなのでバイクの基本が身に付いている人であれば難なく馴染めます。
それゆえに、リッタークラスのSS(スーパースポーツ)のようにアクセルを開ける度に神経を擦り減らすこともありません。
まとめると、隼は
・走り出したら軽い
・加速は穏やか
・メーターが見やすくて豪華
・どのギアでどの回転域からでも立ち上がれるほどパワフル
・数万km走っても大きな故障がない
・まだまだ部品が生産されているのでずーっと乗り続けることができる
といった特徴を兼ね備えた「実は親しみやすいバイク」です。
もちろん、アクセルはゆ~っくりと開けてくださいね。
いくら加速が穏やかだといっても、アクセルをガバッ!と開けるとトンデモない目に遭いますから。
もっとも、これは他のバイクにも言えることですし、それ以前にあなたはそんなことしないと思いますが。
後は
・減速(ブレーキング)は余裕をもって行う
・コーナーに入る前に十分に減速する
・体を鍛える(できるかぎりでもいいので)
・体全体を使って押し引きする
といった一工夫で何とでもなります。
最初は苦戦するかもしれませんが、続けているうちに慣れますから。
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免許取り立ての初心者が隼に乗るのはおすすめ・・しない
ただ、それでも免許取り立ての人がいきなり隼に乗るのはおすすめしません。
何だかんだで重いバイクを押し引きするのは大変だし、それよりも先に「公道での運転」および「バイクの基本」を覚える必要があります。
立ちゴケ・走りゴケの連続は心が折れるし、そんな状態で(ものすごい数の)クルマが行き交う公道を走るのは危ないです。
せっかく隼を買ったのにそれでは本末転倒だし、あなたもそんな目に遭うのはイヤですよね?
ではどうすればいいのかというと、ミドルクラス(排気量:600~900cc)のように「それなりの大きさと重さがあるバイク」から乗り始めることをおすすめします。
ミドルクラスのバイクはそれなりに大きくて重いですが、それゆえに初心者が「大きくて重いバイクの扱い」を覚えるのに適しています。
別に(隼をはじめとする)大きくて重いバイクに乗る気がないのであれば、小さくて軽いバイクから乗り始めても問題ありません。
ですが、小さくて軽いバイクに慣れすぎてしまうと、大きくて重いバイクに乗り換えたときに(ものすごく)苦戦します。
これだと「こんなはずでは・・」と後悔するかもしれませんし、そんなのあなたもイヤですよね?
「急がば回れ」とはよく言ったもので、あえて遠回りをすることも大事です。
そういう理由から、「免許取ったけど、どのバイクに乗ればいいか分からない・・」という人にはミドルクラスのバイクをおすすめしています。
バイクの基本を覚えるのもそうですが、走り続けているうちに自分の考え方だって変わる可能性だってありますからね。
バイクだけにすべてを求めるのではなく、自分自身も試行錯誤してみるのはけっしてラクではありません。
ですが、その分バイクをもっと楽しめます。
ぜひ試行錯誤しながらバイクを楽しんでくださいね。
それでは。
あ、それともう一つ。
大事なことなのでもう一度言っておきますが、隼に乗るならスライダーを付けておくことをオススメします。
立ちゴケしたときの損害は少ないに越したことはありませんし、それこそカウルが割れて修理代〇万円・・なんてことになったら笑うに笑えませんので。
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