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突然ですが、あなたのバイクのドライブチェーンは交換時期を迎えていませんか?
バイクのドライブチェーンは消耗品です。たとえ今は新品だったとしても、いつかは交換しなければいけないときが来ます。
広義では、車体も、エンジンも、バイクそのものも消耗品ですが、ドライブチェーン(以下、チェーン)はタイヤやブレーキパッドのように比較的寿命が短い部品です。
それゆえに、チェーンも定期的に点検して「まだ使えるか?」「交換時期が来ているか?」を確認しておく必要があるわけですね。
とはいえ、中には「チェーンのどこを見ればいいのか分からない」「どの部分がどんな状態だったらマズいのか分からない」という人もいるかもしれません。
そこで今回は、チェーンの点検について簡単にまとめました。
バイクに乗っている人、バイクを自宅に保管している人の参考になれば幸いです。ぜひご一読を。
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もくじ
はじめに
まず、はじめにチェーンの構造についてお話しします。
たとえば、交換時期を迎えたチェーンは「伸びる」と表現されます。
ですが、けっして内プレートや外プレートが(たとえば、うどんの麺みたいに)びろーんと伸びるわけではなく、ローラーやブッシュやピンといった部品(特に、ピン)がすり減ることによって起こります。
ローラーやブッシュもですが、ピンは特にすり減ります。
ピンがすり減ると隙間が大きくなり、一度隙間が大きくなるとさらに隙間が大きくなって、そのうちガタガタになってしまいます。
ガタガタになったチェーンは、引っ張ったときの全長が長くなります。
つまり、本当に部品が伸びているわけではなく、部品が摩耗(すり減る)することによって「伸びる」と呼ばれる現象が起こっているわけですね。
今どきのバイクは原付一種等の小排気量車を除けば、すべてがシールチェーンと呼ばれるチェーンが使われています。
雨ざらしにせず、定期的に清掃・注油することが前提ではありますが、ノンシールチェーンと比べれば伸びにくくなっています。
とはいえ、それでもいつかは使えなくなるとき(交換時期)が来ますので、定期的に点検して「まだ使えるか?」「交換時期が来ているか?」を確認しておく必要があるわけです。
「伸びにくくなった」とはいっても、けっして「部品がすり減らない」というわけではありませんからね。
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要交換のチェーンの特徴
さて、ようやくチェーンを点検するわけですが、中には「チェーンのどこを見ればいいのか分からない」「どの部分がどんな状態だったらマズいのか分からない」という人もいることでしょう。
ここでは、交換時期が来ているチェーンの特徴をまとめましたので、自分のバイクのチェーンを点検するときの目安にしていただければと思います。
「錆びている」「走るとガチャガチャと音がする」なんてのは問題外ですが、他にも色々とあるので一つずつ見ていきましょう。
※チェーンに触れているときにエンジンが掛かると、指がチェーンとスプロケットに巻き込まれます。チェーンを点検するときは、事前に必ずキルスイッチを押しましょう。
「伸び」が発生している
さきほどお話しましたが、「伸び」が発生しているチェーンは(引っ張ったときの)全長が長くなります。
「バイクに付いた状態でどうやって確認するの?」と思う人もいるかもしれませんが、バイクに付いた状態でも確認する方法があります。
チェーンを持って真後ろに引っ張ってみてください。
このとき、スプロケット(ドリブンスプロケット)とチェーンの間に隙間ができていたら「伸び」が発生していることになります。
こう言うと「チェーンアジャスターを目一杯引けばいいじゃないか」と思うかもしれませんが、チェーンアジャスターを目一杯引いているということは(チェーンが)相当に摩耗しているってことなので、引っ張ってみて隙間ができていたら交換しましょう。
固まっている
固まっていないチェーンはまっすぐで、滑らかに動きます。
ですが、固まっているチェーンは波打っていてまっすぐにならず、動きも悪いです。
チェーンを真横から見て、波打っている箇所がないか確認しましょう。
シールリングが抜け落ちている
シールチェーンにはシールリングという部品が付いており、それでグリースを密封しています。
外プレートと内プレートの間をじっと見て、シールリングが抜け落ちている箇所がないか確認しましょう。
ローラーにヒビ割れが発生している
内プレートの間にはローラーが挟まっています。
ローラーを見て、ヒビ割れが発生している箇所がないか確認しましょう。
ピンが回転している
ブッシュやローラーと違い、ピンは固定されているため本来なら回転しません。
チェーンを真横から見て、ピンが回転している箇所がないか確認しましょう。
いかがでしょうか、あなたのバイクのチェーンにはこれらの症状はなかったでしょうか?
ちなみに、チェーンを点検するときは1ヶ所だけではなく、チェーン1周の数ヶ所で見てください。
部分的に1ヶ所だけ見て何も症状がなかったとしても、他の数ヶ所を見てみたら固まって波打っていたり、シールリングが抜け落ちていた・・なんてこともザラにありますのでね。
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チェーンを清掃・注油するときの注意点
何もせずに放置していると、チェーンに上記のような症状が現れます。
ですが、バイクを雨ざらしにせず、定期的に清掃・注油をしていれば予防することができます。
とはいえ、間違った方法で清掃・注油していると(たとえ、良かれと思ってやっていても)かえってチェーンを傷めることにもなりかねません。
ここではチェーンを清掃・注油するときの注意点をまとめましたので、清掃・注油するときの参考にしていただければと思います。
なお、チェーンの点検のときと同じように、清掃・注油するときもキルスイッチを忘れずに押しておきましょう。チェーンに触れているときにエンジンが掛かると、指がチェーンとスプロケットに巻き込まれますから。
チェーンクリーナーとオイルは専用品を
清掃するときはバイクのチェーン専用のクリーナーを、注油するときはバイクのチェーン専用のオイルを使いましょう。
チェーンの清掃・注油の話になると「汚れが落ちれば何でもいい」「オイルだったら何でもいい」と言う人がいますが、それらの発言を額面通りに受け取って防錆浸透潤滑剤(例:呉工業 5-56)や灯油を使ったらダメです。
防錆浸透潤滑剤や灯油はシールリングを傷めます。クリーナーとオイルはバイク専用のものを使ってください。
良かれと思って防錆浸透潤滑剤や灯油を使ったら、シールリングがダメになった・・なんてことになったら笑うに笑えませんし、そもそも件の発言は「専用品のクリーナーやオイルだったら何でもいい」という意味ですから。
さらに言い添えておくと、防錆浸透潤滑剤や灯油のようなシャバシャバな(粘度が低い)オイルは、走ればすぐに飛び散ってしまいます。
防錆浸透潤滑剤や灯油を使ったところで、シールリングを傷めたり、飛び散ってタイヤに付着しますので、はじめからバイク専用のクリーナーとオイルを使いましょう。
チェーンブラシも専用品を
基本的にチェーンの汚れはウエスで拭き取りますが、それだけでは落とせない汚れはチェーンブラシで落とします。
チェーンブラシも、なるべく専用品を使うことをおすすめします。
いちおう他のブラシでも代用することはできますが、なるべく柔らかいブラシを使いましょう。
間違ってもワイヤーブラシみたいな硬いブラシは使わないでください。シールリングが傷みますから。
タイヤを浮かせるスタンドを用意する
何を今さらな話ですが、清掃・注油はチェーン1周で行う必要があります。
ですが、リアタイヤが浮いていない(回転しない)と部分的にしか清掃・注油できませんし、それだと何度もバイクを押したり引いたりしなければいけません。
そうならないためにも、リアタイヤを浮かせることができるスタンドを用意しておくことをおすすめします。
リアタイヤを浮かせることができれば、片方の手でタイヤを回転させ、もう片方の手でクリーナーやオイルを吹きかけたり、ブラシで掃除することができます。
スタンドといっても、レーシングスタンドのようなものである必要はありません。
今の時代、小型のスタンドもありますので、もし「レーシングスタンドみたいなスタンドじゃなくてもいいや」というのであれば、そういうスタンドでもいいので用意しておきましょう。
「リアタイヤを手で回せる」のと「回せない」のでは、清掃・注油(それと、点検)に掛かる時間と労力が違いますから。
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スプロケも同時に確認すること
以上、バイクのチェーンの点検について簡単にまとめました。
最初の方でも触れましたが、チェーンは消耗品です。
ですが、タイヤやブレーキパッドのように減りが(少なくとも、パッと見では)目に見えないので、交換時期を迎えていても中々気付かないことが多いです。
交換時期が来ているにもかかわらず、気付かずそのまま走っていたら関係ないところまで壊れた・・なんてことになってから交換しても、もう手遅れです。
そうならないためにも、定期的に(1,000(km)に1回は)チェーンを点検しておきましょう。
また、チェーンを点検するときはスプロケットも見ておきましょう。
チェーンが消耗するってことは、その相方(?)であるスプロケット(以下、スプロケ)も消耗します。
特にドライブスプロケはカバーで覆われているためか、よく点検する人でも見落としやすいので、チェーンを交換するときは「前後のスプロケも同時に交換するもの」と思っておけば良いかと思います。
もっとも、ドリブンスプロケが消耗しているのを見れば「きっとドライブスプロケも同じくらい摩耗してるんだろうなぁ」と思うものですが。
チェーンの寿命は「シールチェーン:約15,000~30,000(km)」「ノンシールチェーン:約5,000(km)」と言われています。
ですが、保管状況、バイク、走り方、清掃・注油の頻度、清掃・注油の方法で、チェーンの寿命は大きく変わります。
ちょっとした一手間を掛けてあげることでチェーンの寿命が延びるのなら、そうした方が得ではありませんか?
チェーンだってけっして安い部品ではありませんし、それこそ「面倒くさいから点検も清掃・注油もしない」なんて言ってチェーンを次々とダメにしていたら部品代(それと工賃)が吹っ飛ぶだけですよ?って話ですが、いかがなものでしょうか。
「たかがチェーンごときで・・」と思うかもしれませんが、チェーンは(トランスミッションを経た)エンジンの動力をリアタイヤに伝えたり、最終的な減速比を決定する二次減速機構(最終減速機構)の一翼を担う重要な部品です。
点検や清掃・注油を怠っていると、走っているときにチェーンが外れたり、切れたチェーンがドリブン側に巻き付いてリアホイールをロックさせたり、エンジンのクランクケースにぶつかってケースが割れたり・・といったロクでもない目に遭いますので、そうならないためにもチェーンも定期的に点検しておきましょう。
ちょっとした一手間(というか、最低限の整備)すらも「面倒くさい」の一言で一蹴した結果、バイクが壊れたり、事故って大怪我してバイクそのものを楽しめなくなったら笑うに笑えませんからね。
それでは、この辺で。
あなたがドライブチェーン式のバイクに乗っていようと、ベルトドライブ式またはシャフトドライブ式のバイクに乗っていようと関係なく、楽しくずーっとバイク生活を満喫し続けることができますように。
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