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突然ですが、あなたはプリロードを調整していますか?
車種にもよりますが、バイクのフロントフォークとリアショックアブソーバーにはプリロード調整機能があります。
この機能を使うことで、自分が乗っているバイクの乗り心地を変えることができます。
もし、自分が乗っているバイクの乗り心地がイマイチ、あるいは明確な不満(例:凸凹面で突き上げられる、底付きしてゴツゴツする)があるのであればプリロードを調整してみてはいかがでしょうか。
とはいえ、中には「プリロードなんて一度もイジったことがない」「そもそもプリロードが何なのか分からない」という人もいることでしょう。
そこで今回は、バイクのプリロード調整について簡単にまとめました。
バイクに乗っている人、自分のバイクの乗り心地を変えてみたい人の参考になれば幸いです。ぜひ、ご一読を。
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もくじ
はじめに
まず、はじめに「プリロードとは何ぞや?」というところからお話します。
プリロードとは、フロントフォークおよびリアショックアブソーバーのバネをあらかじめ縮めておく量のことです。
フロントフォーク(以下、フォーク)およびリアショックアブソーバー(以下、リアショック)のバネは伸びきっている(これ以上伸びない)わけではなく、ある程度縮んだ状態でフォークやリアショックに取り付けられています。
この「あらかじめ縮めておく量」をプリロードと言い、プリロードアジャスタやアジャストリングを回すことで調整する(多くする、少なくする)ことができます。
当たり前の話かもしれませんが、バイク(工場出荷時)のプリロードはライダー一人一人に合わせてあるわけではありません。想定重量(日本のメーカーの場合、想定するライダーの体重は、65~75kgくらいと言われています)に合わせてあります。
そのため、人によっては乗っていて「凸凹面で突き上げられる」「底付きしてゴツゴツする」と思うかもしれません。
そこでフォークおよびリアショックのプリロードを調整することで、乗り心地を変えたり「突き上げ」「底付き」といった不満を解消することができるというわけです。
とはいえ、スマホやタブレット(あるいは、パソコンのディスプレイ)で字面を眺めているだけでは何も実感が湧かないことでしょう。
というわけで、スマホやタブレットを一旦脇に置いて(あるいは、パソコンをシャットダウンまたはスリープして)実際にプリロードを調整してみましょう。
もっとも、すべてのバイクにプリロード調整機能が備わっているわけではありませんし、車種によっては調整機能付きのトップキャップやリアショックに交換するところから始める必要があるわけですが。
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プリロードを調整するときの注意点
「プリロードを調整する」と言っても、基本的にアジャスタやリングを回すだけです、が、その際にもいくつか注意点があるので、プリロード調整の泥沼にハマらないためにも一つずつ確認していきましょう。
取説をじっくり読む
基本的なことですが、実際にプリロードを調整する前に(自分のバイクの)取扱説明書をじっくり読んでおきましょう。
さきほど「アジャスタやリングを回すだけ」と言いましたが、アジャスタやリングにも色んな種類のものがあります。
たとえばリアショックのリングですが、段数が決められているものがあれば、ネジ式のものもあります。
前者は数段階に調整できるのに対し、後者は無段階(その回転数で管理する)です。
※社外品や一部の純正品には、ダイヤルを回すだけで調整できるものもあります。
また、フォークのアジャスタにも、マイナスドライバーで回すものもあれば、メガネレンチやソケットレンチで回すものもあります。
このように、アジャスタやリングにも色んな種類のものがありますので、取扱説明書をじっくりと読んで確認しておきましょう。
「アジャスタやリングを回すだけ」って言葉を額面通りに受け取って「あのバイクはマイナスドライバーで回していたから、自分のバイクもそうなんだろう」なんて言って回したけど、実はプリロードアジャスタじゃなくて伸び側減衰力アジャスタを回していた・・・なんてことになっても、笑い話のネタにしかなりませんので。
リングの外径を測る
リアショックのリングを回すには工具(スパナ)が必要な場合があります。
車載工具に入っているのであれば別ですが、そうでないなら自分で用意する必要があります。
もし、自分でスパナを用意(購入)するのであれば、その前にリングの外径をノギスで測っておきましょう。リングの外径が分からないと「どのサイズのスパナを買えばいいのか」が分かりませんから。
なお、ネットでリングの外径(あるいは、スパナのサイズ)を調べるのはやめておきましょう。
ネットの情報は嘘か真か分からないものが多く、そんな情報を信じてスパナを用意したことで「せっかくスパナを買ってきたのに、リングに合ってない・・・」なんてことになったら笑うに笑えません。
たとえ「面倒くさい」と思ったとしても、ノギスでリングの外径を測りましょう。
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白ペンで目印を付ける
実際にアジャスタやリングを回す前に、白ペン等で目印を付けておくことをおすすめします。
白ペンで目印を付けておけば「どれだけアジャスタやリングを回転させたか」が一目で分かるようになります。
目印を付けずに回した結果、「どれだけ回転させたっけ?」なんて言ってたら笑うに笑えませんので、アジャスタとリング(それと、その周辺)に白ペンで目印を付けておきましょう。
メモを忘れない
プリロードを調整したら「ハイ、おしまい」で片づけるではなく、メモ帳に「プリロードを何回転分掛けたか(あるいは、抜いたか)」「その結果、何が変わったか」などを記録しておきましょう。
メモ帳といっても、わざわざノートみたいなものを購入する必要はありません。
スマホやパソコンのメモ帳でもチラシの裏でも何でも構いませんので、記録できるものを用意してください。
「どっちのプリロードを何回転分掛けたか(あるいは、抜いたか)」「その結果、何が変わったか」を記録しておけば、今後の調整に活かすことができます。
また、プリロードを元に戻すときも「どっちのプリロードを何回転分掛けたか(あるいは、抜いたか)」の記録があればすんなり(?)と元に戻せますので、プリロードを調整したらメモを取っておきましょう。
前後を同時にイジらない
プリロードを調整するとき、調整する箇所は必ずフロントかリアの一か所にしましょう。
プリロードを調整したことで走りが良くなった(あるいは、悪くなった)としても、フロントとリアを同時に調整してしまうと、どっちが原因で走りが良くなった(あるいは、悪くなった)のか分からなくなってしまいます。
あれこれとイジりたくなったとしても、まずはフロントかリアのどっちか一か所から調整するようにしましょう。
最初から色んな調整機能が付いているとあれこれとイジってみたくなるかもしれませんが、だからといって同時にあれこれとイジっていたら、ますます泥沼にハマってしまいますから。
タイヤの空気圧は一定にする
プリロードを調整するときは、なるべくタイヤの空気圧を変えないようにしましょう。
タイヤの空気圧も走りに影響を及ぼします。
プリロードだけではなく、同時にタイヤの空気圧もコロコロと変えていたら、仮に走りが悪くなった(あるいは、良くなった)としても何が原因なのかますます分からなくなります。
あれこれとイジってみたい気持ちは分かりますが(プリロードの調整という観点から)ここはグッとこらえて、まずはプリロードの調整に専念しましょう。
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迷ったら元に戻す
プリロードの調整にこだわり始めると、あなたもそのうち泥沼にハマることでしょう。
「ベストの状態」「理想の状態」を追求してあれこれ調整しているうちにチンプンカンプンになり、終いには何をどうイジっていいのかサッパリ・・ってことになっているかもしれません。
プリロードを調整していて訳が分からなくなったら、一旦プリロードを元に戻しましょう。
「何をどうイジっていいのかサッパリ・・」な状態なのに調整を続けていたら、ますます泥沼にハマります。そうならないためにも、一旦元に戻して仕切り直しましょう。
他人の調整をマネしない
プリロードを調整していて「どうも上手く調整できてないような気がする・・」と思っている人の中には「他の人はどんな調整をしているのか?」「前(または後ろ)のプリロードをどれだけ掛けている(あるいは抜いている)のか?」が気になる人がいるかもしれません。
ですが、他人の真似をしても意味はありません。なぜなら、乗ってる人も使用目的も違うのですから。
最初の話を思い出してください。プリロード調整の目的は「乗っている人に合わせるため」でしたよね?
質問しますが、その人(あなたが真似しようとしている人)とあなたは同じ体重・身長なんですか?
たとえ体重が同じだったとしても、身長や手足の長さが違えば重心の高さや前後への荷重配分も変わります(たとえば、手が長い人の方が、短い人よりもカラダが起きる(前傾姿勢が緩くなる)から、フロントへの荷重が減る・・といった具合に)。
さらに、同じ体重・身長でも「上半身が重い人」「下半身が重い人」がいて、レースではそれによってセッティングが変わることもあります。まあ、さすがにこれは極端な例で、公道を走る分にはそこまで神経質になることはありませんが。
さらに使用目的も、人によって違います。
一人乗りの人もいればタンデム(二人乗り)の人もいるし、リアシートに何も載せない人もいれば山のような荷物を載せる人もいます。
そもそも、走っている場所が違う場合もあります。
仮にあなたが主に公道を走っている人だったとしても、その人はサーキットを走っている人なのかもしれませんよ?って話です。まあ、これも極端な例えですが。
さらに細かいことを言うのでしたら、使っているタイヤも人によって違います。
タイヤはどれもこれも同じように見えますが、メーカーや銘柄によって各部の寸法やプロファイル(断面形状)が違います。
これらが走りに与える影響は大きく、仮に何か気になることがあったとしてもプリロードの調整である程度補正することができます。ひょっとしたら、その人も(タイヤを交換したことで)プリロードを調整したかもしれませんし、ヘタしたら空気圧だって指定値じゃないのかもしれませんよ?って話です。
挙げだしたらキリがないのでこの辺にしておきますが、このように乗っている人や使用目的によってプリロードの調整も変わってきます。
「どうも上手く調整できてないような気がする・・」と思っていたとしても、他人の調整を真似するのはやめておくことをおすすめします。
あれこれと試行錯誤しながら「自分に合った状態」を探り当てるのがプリロード調整の難しいところでもあり、同時に面白いところでもありますので。
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最後に
以上、バイクのプリロード調整について簡単にまとめました。
他にも細かいことを言えば「なるべく同じ場所を走る」「極端な調整をしない」といったものもありますが、あれこれと挙げだしたらキリがないのでこの辺にしておきました。
ただし、これらは「プリロード調整の範疇を超えなければ」の話で、乗っている人に対してバネが硬すぎる(あるいは、柔らかすぎる)といった場合はプリロードの調整だけでは解決できません。
そうなったら「バネを柔らかいもの(あるいは、硬いもの)に交換する」ことを視野に入れてもいいでしょう。バネが換わればフォークやリアショックも変わりますから。
それと、もしリアショックのバネを交換するのであれば(特に、中古車や長い年月が経ったバイクは)ダンパーがヨレヨレになってないかも確認しておいてください。
ダンパーの内部(ガス室)には窒素ガスが加圧充填されています。このガスは経年と共に抜け出て、内圧が低下してしまいます。すると、反発力(バネ効果)が小さくなってしまいます。
そうなったら、ダンパーのOH(オーバーホール)も視野に入れておきましょう。せっかくバネを交換するのに、ダンパーがヨレヨレではもったいないですからね。
もっとも、ダンパーのOHを視野に入れるのであれば(もうちょっとおカネを出して)リアショックそのものを交換するという手もあるのですが。
※OH(オーバーホール):装置を分解・洗浄・点検・部品交換・組立・調整等をして正常な機能にすること。
実際にプリロードを調整し始めると分かりますが、何回か調整したくらいでは自分が思い描いているような状態にはならないことでしょう。
そこで提案したいのが「ベスト」や「理想」にこだわらないことです。
いつでも元に戻すことができて、しかも道具さえあればタダで変化を楽しめるのがプリロードの調整なんですから、まずは「へぇー、プリロードを抜いたら(あるいは、掛けたら)走りはこう変わるのね!」ってのを楽しみましょう。
それでは、この辺で。
プリロードの調整を通じて、今後もあなたがバイク生活を満喫できますように。
それと、もう一つ。
当たり前の話かもしれませんが、プリロードの調整を楽しむには「バイクに異常がないこと」が前提となります。
たとえば、フォークのオイルが漏れていたらプリロードが云々とか言ってる場合ではありません。フォークを伝ってオイルがブレーキに付着したら、ブレーキが効かなくなりますから。
プリロードを調整する前に、自分のバイクのどこにも異常がないことを確認してください。
それこそフォークのオイルが漏れているのにプリロードが云々なんて言っても、周囲の人間からしてみれば「プリロードをイジる前に、オイル漏れをなんとかしろよ!」って話ですから。いや、ホントに。
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