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突然ですが、あなたは今どんなタイヤを使っていますか?
タイヤの仕事を大きく分けると「荷重を支える」「衝撃を和らげる」「路面に力を伝える」の三つがあります。
まず一つ目、バイクの重さを、それとカーブを曲がるときやブレーキを掛けるときに発生する重力を支えているのも、乗っている人の体重(それと積載物の重さ)を支えているのもタイヤです。
次に二つ目、路面からの衝撃を和らげているのはサスユニット(フロントフォーク、リアショックアブソーバー)だけの仕事ではなく、タイヤの仕事でもあります。路面からの衝撃は、まず最初にタイヤが和らげ、それからサスユニットを介して車体に伝わります。
最後に三つ目、バイクの基本運動(走る、曲がる、止まる)はすべて路面とタイヤとの力のやり取りです。どんなに高性能なブレーキが付いていたとしても、どんなにパワーがあるエンジンが載っていたとしても、タイヤが無ければお話にならないわけです。
「たかがタイヤ」「ただの消耗品」と言う人もいますが、バイク(というかタイヤが付いている乗り物)はタイヤがないと何もできません。
少々大げさな言い方をするのであれば、バイクはタイヤに頼り切ってるってことですね。
そこで今回は、バイク用タイヤについて簡単にまとめました。
「どんなタイヤを選べばいいのか分からない」「そもそもタイヤをどう扱えばいいのか分からない」という人の参考になれば幸いです。ぜひご一読を。
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はじめに
まずはじめに、タイヤを大きく分けると「バイアスタイヤ」「ラジアルタイヤ」の二つがあります。
バイアスタイヤとラジアルタイヤはコードの向きが異なり、コードが斜め方向に並んでいるのがバイアスタイヤ、コードが放射状に並んでいるのがラジアルタイヤです。
直訳すると、バイアスは「斜め」、ラジアルは「放射状」という意味です。これが名前の由来になっているわけですね。
他にも、バイアスタイヤとラジアルタイヤは衝撃を和らげる方法が違います。
バイアスタイヤはサイドウォール(タイヤの横の柔らかい部分)とトレッド(路面と接触する部分)が変形して衝撃を吸収しますが、ラジアルタイヤはサイドウォールのみで衝撃を吸収します。
バイアスタイヤがタイヤ全体を変形させているのに対し、ラジアルタイヤは衝撃の吸収とグリップの役割分担がハッキリしています。これも両者の大きな違いです。
また、バイアスタイヤ(またはラジアルタイヤ)でも銘柄によって、各部の寸法、トレッドゴムの材質、コードの材質、ブレーカー(またはベルト)の枚数、ブレーカー(またはベルト)の角度、トレッドパターン(溝の形状)、プロファイル(断面の形状)等が違います。
タイヤは(特に、バイクに乗っていない人には)どれもこれも同じに見えるかもしれませんが、銘柄によって各々が違うわけですね。
とはいえ、こんなことを字面として眺めていてもピンと来ないことでしょう。
というわけで、スマホやタブレットは一旦脇に置いて(あるいは、パソコンをスリープまたはシャットダウンして)、タイヤのカタログや現物を見てみましょう。
ネットで情報収集するよりも、タイヤのカタログや現物を間近で見た方がはるかに有益ですから。
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タイヤ選び・使用時の注意点
さて、ようやくタイヤを選んだり、買ったり、使ったりするわけですが、そのときにもいくつか注意点があるので触れておきます。
注意点と言っても、特別難しいことをするわけではありませんので、一つづつ確認していただければと思います。
あと、タイヤを交換するときは前後同時に、そして前後とも同じ銘柄のタイヤに交換してください。
バイクのタイヤは、前後が対になることではじめてそのハンドリング性能を発揮するように設計されています。
前後とも同じ銘柄のタイヤを使うこと前提で設計されているにもかかわらず、前後を違う銘柄にしてしまうと、本来の性能が発揮できません。ご注意を。
段減りに注意
タイヤは買ったらずーっと使えるわけではなく、いつかは交換時期を迎えます。
作られてから3年以上経過して硬化し、サイドウォール(タイヤの横の柔らかい部分)にクラック(細かいヒビ)が入ったら交換・・というのはご存知だと思いますが、他にも「スリップサインが顔をだしたら交換」というものがあります。
つまり、トレッドがスリップサインまですり減ったら交換ということですね。
ここで注意しなければいけないのは「たとえ片側が残っていても、もう片側がスリップサインにかかっていたら要交換」ということです。
片側だけ残っているのを見ると「なんだ、まだ残ってるじゃん」と思うかもしれません。
ですが、もう片側が限界まで減っている・・なんてことはよくあります(このように、溝の角が片方だけ減って段々になった状態を「段減り」と呼びます)。
こうなると溝は本来の仕事(排水)をしてくれないわけですから、雨の日に滑ってガシャン!ってことになります。
そんな目に遭わないためにも、タイヤの減りを確認するときは「スリップサインが顔を出していないか?」だけではなく「段減りは無いか?」も同時に確認する必要があるわけですね。
また、タイヤの減りを確認するときは1ヶ所だけではなく、他の箇所も見ておきましょう。
たとえ1ヶ所が大丈夫だったとしても、他の箇所でスリップサインが顔を出していることもありますので(段減りはフロントタイヤ(前輪)の「真ん中~ちょっと横」でよく見かけます。要確認)。
カタログをよく読む
あなたもご存知かもしれませんが、どのタイヤにも良し悪しが混在しています。
どのタイヤにも得意なことがあれば不得意なこともあり、それこそ何でも完璧にこなせてかつ安いタイヤなんて存在しません。
そこでタイヤのカタログをじっくりと読み、どのタイヤが自分に合ってそうなのかを確認する必要があるわけです。言い方を変えると「自分の使用目的と大きくかけ離れたタイヤは選ぶな」ということですね(たとえば、晴れた日のサーキットで競技をするのに、ウェット路面や低温時のグリップが優れているタイヤをわざわざ選ばないでしょう?って話です)。
それと、カタログを読むというのは「タイヤの特徴を確認する」「ウラを読む」の二つの意味があります。
タイヤのカタログを読んでみれば分かりますが、基本的にカタログには良いことしか書いてありません。
ですが先ほども触れたように、どのタイヤにも良し悪しが混在しています。
ドライグリップを向上させればウエットグリップが落ち、ライフを向上させればグリップが落ちるように、どれかを向上させればその一方でどれかが落ちます(まあ、これは致し方がないことで、それだけ各々を両立させるのが難しいってことですね)。
そこでユーザーは、この辺を踏まえてカタログを読む必要があるわけです。
たとえば、ドライグリップの良さを強調しているのであれば「減りが早く、雨の日は避けた方がいいタイヤなんだろうな」と思った方がいいでしょう。
逆に、ウエットグリップの良さを強調しているのであれば「ドライグリップはイマイチで、どちらかというと曲がりやすいタイヤじゃないんだろうな」と思った方がいいでしょう。
また、ドライグリップとウエットグリップを両立させ、さらに曲がりやすさも強調しているのであれば「安定性はイマイチで、それなりに走る場所を選ぶタイヤなんだろうな」と思った方がいいでしょう。
このように、カタログからも色んな情報が読み取れるので、それらを基にして自分に合っている(と思われる)タイヤを選びましょう。
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皮むきをする
タイヤは新品に交換したらいきなり普段のように走れる・・わけではなく、その前に「皮むき」をする必要があります。
新品のタイヤの表面には硬化防止剤が塗布されています。
この硬化防止剤を落としておかないと、タイヤが雨の日にツルっと滑ります。
そうならないためにも、タイヤを交換したら硬化防止剤を落としておきましょう。
なお、硬化防止剤は100円ショップに売ってるものでも落とせます。
それこそ特殊な道具や技能が無くても落とせますので、もし手元にないのであれば(タイヤを注文したついででもいいので)100円ショップやホームセンターで買っておきましょう。
ならしをする
タイヤを新品に交換し、皮むきが終わればようやく普段のように走れる・・わけではなく、その前に「ならし」をする必要があります。
タイヤの硬化防止剤を落としたとしても、タイヤとホイールの接触面はまだなじんでいません。それゆえに、新品のタイヤにも「ならし」が必要なわけです。
とはいえ、特別難しいことをする必要はありません。
タイヤを交換したら30~100kmくらいは急激な加減速や深いバンクはしない。これだけです。
早い話、「タイヤを換えてしばらくの間はゆっくり走ってね」ってことですね。もっとも、新品のタイヤで急激な加減速や深いバンクをする人なんていないと思いますが。
空気圧を測る
タイヤを交換したときだけではなく、日頃からタイヤの空気圧を測るクセを付けておくことをおすすめします。
こう言うと「たかが空気圧ごとき」と思うかもしれませんが、タイヤの空気圧が変われば乗り心地も変わります。
もしバイクに乗っていて「なんか曲がりづらいなぁ・・どこか悪いのかな?」と思ったら、タイヤの空気圧を測ってみてください。故障ではなく、単に空気圧が低いだけだった・・なんてこともありますので。
それと、走りがマンネリ化したときは空気圧を変えてみましょう。
さきほども言いましたが、タイヤの空気圧が変われば乗り心地も変わります。
タイヤゲージと空気圧さえあればタダでできて、しかもいつでも元に戻すことができますので、もし走りを変えたいと思うのであれば(許容範囲内で)タイヤの空気圧を変えてみましょう。
※公道を走る場合、タイヤの空気圧は「指定空気圧±10%以内」の範囲にとどめましょう。どうしても±10%よりも大きくしたいのであれば、公道以外の場所(例:コースや私有地)で、あくまで自己の責任において慎重に試してください。
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最後に
以上、バイクのタイヤについて簡単にまとめました。
最初の方でも触れましたが、タイヤは銘柄によって特徴があり、違う銘柄に換えただけでガラリと走りが変わることがあります。
もし、タイヤを交換したことで走りに違和感を感じたら、プリロードを調整してみましょう。ある程度は補正できますから。
※プリロード:フロントフォークおよびリアショックアブソーバーのバネをあらかじめ縮めておく量のこと。
さて、ここまでタイヤについて色々お話したわけですが、中には「たかがタイヤごときで・・」「そんなのただの消耗品じゃん」と思う人もいるかもしれません。
それこそ中には「選ぶの面倒だし、次回も純正タイヤでいいや」って人もいることでしょう。
まあ、純正タイヤそのものを否定するわけではありませんし、もし「あまり走りを変えたくない」と言うのであれば次回も同じ銘柄のタイヤにしておけば安心ではありますから。
ですが、同じ銘柄のタイヤばっかり使ってたら飽きませんか?
せっかくタイヤを換えるんですよ?タイヤを換えることで走りが変わるんですよ?
それこそ「たかがタイヤ」「ただの消耗品」なんて言ってテキトーに選ぶのではなく、ある程度基本を押さえたうえでタイヤを選んだり使ったりしてみませんか?って話です。
まあ、最終的にどんなタイヤを使うのかは、使う人(つまり、あなた)次第なのですが。
それでは、この辺で。
あなたがどのメーカーのタイヤを使おうと、どの銘柄のタイヤを使おうと、はたまた空気圧やプリロードをどう調整しようと関係なく、ずーっとバイク生活を満喫し続けられますように。
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